『ChatGPTを使いこなしたい!』と思っている人は数多くいらっしゃるかと思いますが、実際に使いこなすためには色々な使用法を知っている必要があります。
『プロンプトの書き方』や『APIの使い方』『AIの得意不得意』等です。
そして上記に加えて、是非知っておいてもらいたい知識があります。
それが『出力させる形式』です。
出力させる形式を知っていた方が良い理由
具体的な形式を紹介する前に、なぜこれが重要なのかについて説明します。
GPT-3・GPT-4は基本的に文章しか出力することが出来ません。
これはAPIを使ったとしても同じです。
しかし多くのデジタルデータは、テキストで表すことが出来ます。
何が言いたいかといえば、決まった形式に沿ってChatGPTから出力させることにより、ありとあらゆるデータへ変換することが可能になるのです。
これまであなたはChatGPTを使っても、テキストしか生成させることが出来なかったかもしれませんが、
これから紹介する形式を知ることで、図や数式を出力させたり、他のプログラムと連携させていろんな操作を行ったり、ということが可能になります。
では、実際にどのような出力ができるのか見てみましょう。
HTML, XML
『テキストで表現する』上で、最も広く使われている形式があります。今あなたも読んでいる『HTML』です。
例えばChatGPTに『style付きのHTMLで出して』とお願いすれば、HTMLで書き出せる形にコードを出してくれます。
ただし、HTMLは人間が見るには便利ですが、使い勝手が悪いです。
ドキュメントとして扱いたい場合や、更にそのデータを別システム側で操作したい場合は、XML等で出力すると便利でしょう。
CSV, TSV
先程簡単な表をHTMLで書き出しましたが、
もっと大量のデータならば、CSVやTSVで書き出すのが向いています。
(一応説明しておくと、CSV・TSVは表やデータの一番スタンダードな形式です。CSVはカンマでデータが区切られており、TSVはタブで区切られています)
CSV形式を使うことにより、表計算ソフトのデータも扱わせることが出来ます。CSV形式で貼り付けた後指示を出し、同じくCSV形式で回答してもらえば良いのです。
JSON
XML、CSVときて次はJSONという流れですが、
JSON形式は、ChatGPTにおいて『便利なデータ形式』という以上の意味を持ちます。
あなたがChatGPTを使う際、指示は裏側でJSON形式に変換され、それからAPIリクエストとしてサーバに送信されます。
そして質問を受け取ったChatGPTは、まずJSONによる返答を行い、そのJSONから回答部分のみをブラウザに表示させているのです。
これはブラウザ版だけに限った話ではなく、ChatGPT APIを使って、外部のWebAPIと連携させたい場合も、やり取りはJSON形式となります。(詳しくは下記の記事を御覧ください)
なのでもしあなたがChatGPTを用いたシステム開発に興味がある場合は、JSONについて学ぶことをおすすめします。
特にChatBOT等を作る際には、シナリオのやり取りにおいてJSONを多く使用するでしょう。
JSONの処理は簡単ではありませんが、もしChatGPTを使う上でJSONを使いこなせば最強です。
Wiki記法
『Wiki記法』とは、ウィキペディア等で、執筆する際に用いられている記法です。
非常に素早く、簡潔にコンテンツを生み出す目的で設計されました。
これの使い道としては、『社内wiki』や『Redmine』等でChatGPTを使う際、有用と言えます。
例えば業務でよく使う用語等があると思いますが、その用語集を自力で作ろうとすれば、相当な時間が掛かります。
しかしChatGPTにWiki記法で書かせて社内wikiに上げれば、あっという間に用語集を完成させることができるでしょう。
他にも箇条書きで書いた業務手順を、きっちりとしたマニュアルにリライトさせたり、
フォーマットが違う社内文書を、wiki記法に変換させて掲載したり等、色々なケースが考えられます。
Markdown記法
先程wiki記法の説明で『社内wiki』を取り上げましたが、
むしろ最近の業務ツールならば、Markdown(マークダウン)記法の方が一般的かもしれません。
Markdown記法は、現在数多くのITツールで利用できます。
例えば『Backlog』『NotePM』等の社内ツール。『Notion』『Evernote』等のメモアプリ。更には『wordpress』や『note』等で記事を制作する際にも使えます。
そして文章だけでなく、スライドや図の作成、数式も作成することができるのはご存知ですか?(後述&別記事でご紹介します)
Markdown記法はただの記法ではなく、色々なことに使える記法です。覚えておいて損はないでしょう。
Mermaid
先程『Markdown記法で図の作成ができる』と書きましたが、
その上で使いやすいのがMermaidというツールです。(ライブエディタ)
Markdown記法で関係性を正しく記述すれば、フローやシーケンス図、グラフやチャートまで、Mermaidがキレイな図にしてくれます。
『画像生成AI』を触った人ならば、AIに図を作らせることができるのではないか、と試したことがあるかもしれません。
しかしStable Diffusion等の画像生成AIは、『それっぽい絵』を出すだけで、関係性まで理解した図を出してはくれません。
その点Mermaidを使えば、関係性がはっきりした正しい図をきれいに出すことが出来ます。
これを知ってるだけで、業務の資料作成や論文作成のスピードは圧倒的に早くなるでしょう。
PlantUML
PlantUMLも、Mermaidと同じくテキストから図を作成してくれるツールです。
なおMermaidより対応範囲が広く、コンポーネント図や配置図、タイミング図等を作ることもできます。
ただしPlantUMLはオープンソースのツールであり、インストールすら非エンジニアの方には難しいかもしれません。(オンラインサービスもあります)
TeX(LATEX)
『TeX』とは、コンピューター黎明期から使われている『組版処理システム』であり、『LaTeX』は『TeX』を使いやすくするためのツールです。
主にテキストで書き表せない数式の表示等で使われています。
ChatGPTに指示するときは『LATEXで出せるように書いてください』と指示すれば、そのように出力してくれます。
なお、ChatGPTに入力することも、もちろん可能です。
Tex形式でChatGPTに問題を出せば、しっかり解いてくれます。
大切なのは『AIの使い道』
以前、『システム開発でChatGPTを利用できるシーン & 使いこなせる人の特徴とは?』という記事の中で、
『ChatGPTに要件定義は向かない』ということを書きました。
なぜなら高度と言われているGPT-4でも、『人間が何に困っているのか』『ChatGPTがどのように役立てるのか』といったことを提案するレベルには達していないからです。
しかし逆に言えば、これから必要とされるのは『AIの使い道を知る』エンジニアになると思います。
『何のAIをどのように組み合わせて利用するのか、それをどういった形で事業や生活に取り入れるのか』といったことを、これからのエンジニアは考えることになるでしょう。
そのためにも、現状のChatGPTがどういった出力を行えるのか、知っておくことは有益です。
本記事がChatGPTやAIを理解し、その適切な利用方法を探求する一助となれば幸いです。
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